ゴールデンウィークも終わり、また日常生活が戻ってきました。いかがお過ごしでしたでしょうか?
さて、先日ブログでもご紹介した播州織のふるさと西脇市に、GWのお天気のいい日に行ってきました。神戸から2時間弱くらいですが、さほど渋滞にも巻き込まれずにいけるところなので、気軽にいけるところです。
ただ、材料として使っているとはいえ、直接買い付けるほどではなかったので、播州織の産地として訪れるのは初めてでした。
緑多い山のなかにある西脇はこじんまりした小さな街。
街にはいったとたん、「はぎれあります」という看板が織物工場の前にあったりして、布好きの私としてはわくわく。
今回は、街の中心からすぐのところにある播州織工房を訪れました。のこぎり屋根(布を折るのに都合がいい屋根の形だそうです)の板張りの趣のある建物です。
レトロな建物のなかは、昔、織物工場として使われていたところだそうで、大きな織機がどーん。
眺めていると、「動かしてみましょうか?」ということで電源をいれていただき、実際に目の前で素敵なチェックが織りあがっていくのを見せていただきました(その写真、撮り忘れました・・下の織り機は手動のもの)
広いスペースには、いろいろな種類の織物や、それを使った製品が展示販売。
播州織で有名なチェックやストライプ、やわらかな素材の布や、帆布、デニムなども、素敵な生地がたくさん。
特に作る目的はなかったのですが、こんなところにいると何か布を買いたくなります(笑)
商品製作用の生地は生地屋さんから取り寄せているので、今回は、ただ純粋に私が好きな生地を選んでみました。
素敵でしょ?私好みの色合いのストライプとチェック。チェックはしおり扇子ということで。お土産に。
工房のなかに面白い看板がありました。
お父さんの綿のシャツ
あなたのブラウスやチュニック
綿製品で国産ならうちの生地かもしれません。これでも国産先染綿織物シェア70%なんです。
バーバリー、ダンヒル、ミキハウス
実はあの布、うちで作っています。
えっへん
有名ブランドから受注できるほどの
緻密なデザイン、再現能力
品質ばっちり持っています。だけど、名前は出ない
誰も知らない地元じゃ生地は
その辺にころがっているモノ当たり前すぎて、
猫もまたいで通る「猫またぎの布」
当たり前すぎる「猫またぎの布」
それでも、いったん街からでると、世界的なブランドにも使われているそんな布。
どんなにいい布であっても、製作してしまえばどこで織られた布というよりも、使ったお店のブランドになってしまうので、名前はでません。
最近でこそ、「播州織」という冠をつけた製品にたまにみかけますが、そのようなものはごく一部で、とくに語られることなく、あたりまえに使われている日本製のいい布、それが播州織なのですよね。
当店でも「チェック」「デニム」「ダンガリー」とか表現はしますが、播州織の・・・というのはわざわざいいませんし。
でも、やっぱり違うのですよ。播州織のと、そうではないのと。
いい布っていうのは「くるいがなく縫いやすい」ということで、当店の製作者からも播州織の布は好評です。「くるいがない」というのは布目(布の縦糸と横糸の織り目)にズレがないってことで、出来栄えにも関係してきます。
播州織は先染、糸自体を染めているので、チェック生地を織る場合は、いろいろな糸が織り機に張られて織り上げられます。なので、くるいがないということは、きれいなチェック柄の布になるということでもあります。
播州織ではない似たようなチェックもあるのですが、製作者によると「違いがある」ということなので、当店では、ほとんど播州織を使っています。
工房の近くには、有形文化財の旧來住住宅というところがあり、広い邸宅のなかも見学。こどもの日ということで、立派な兜がいくつも飾ってありました。
近くにはこのようなところも。
日常を少しだけ抜け出しての小旅行でしたが、播州織の品質のよさをいろんな布に触れることで再発見できた時間になりました。